あなたの「働く」を見つめよう

キャリアコンサルタントのTOMOCHIです。働くことについて綴っていきます。

「やりたいこと」を見つめる

こんにちは、キャリアコンサルタントのTOMOCHIです。

今日は「やりたいこと」を見つめる大切さについて書きたいと思います。

 

1.林修先生による「やりたいこと」と「できること」の関係

 

昨日たまたまつけたTVで、林修先生が高学歴ニートを前に授業をしていました。

(6月21日(日)放送の「林先生の初耳学」(毎週日曜夜10:00-10:54、TBS系)

 

私はあまりTVを見ないのですが、これは見られてよかったなと思いました。

林修先生の本業は、某大手予備校の大人気予備校講師ですよね。

ご存知の方も多いかと思いますが、林修先生は、予備校講師という職業になりたくてなったわけではなくて、今でも予備校講師の仕事を楽しいと思ったことはないと言い切っていらっしゃいます。

このTVの中の授業でもおっしゃっていました。僕はやりたいことではなくて、できることを選んで予備校講師をしています、と。

「やりたい・やりたくない」の軸と「できる・できない」の軸を縦横に組み合わせたマトリックスを描いていらっしゃった。

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林修先生の作成されたマトリックス(図解)

 

一番いいのは、「やりたい&できる」の領域の仕事ができることです、と。でもなかなかそんな都合の良いものは見つからないと。

人には、「やりたい・やりたくない」の軸が絶対的なタイプがいますと。でも僕はそうではなく、「できる・できない」の軸で、「やりたくない&できる」の領域の仕事をしているというお話でした。

 

この話は本当に深い話だと思います。

私も35歳のときに自分でいきついたのは、これと同様のマトリックスでしたので、大変共感しました。

若い時は、やりたいことでお金を稼ぎたいと思っていました。どうせ働くなら、やりたいことをしたい、好きなことをしたいと。そこでやりたいことに挑戦しました。思いっきり、路線を変えました。夜間の専門学校に通うほど、大きな転換をしたのです。

けれども、向いていない部分がたくさんありました。何年も働いた上で、挑戦を経て知った、悟った結論は、「自分のできることをしよう」でした。

 

林修先生も、最初はやりたいことをやってみて挑戦はしたと語っていました。でもそれで失敗したと。それを先生は「失敗の実験」と呼んでいらっしゃいました。

林修先生はご自身の経験から、大変興味深いことを言っています。

・やりたいこと=偶然である

・できること=必然である

 

やりたいと思っていたことは、本当に自分が心からやりたいと思っていたことなのだろうか?ということです。

林修先生曰はく、やりたいと思っていることというのは、環境や情報に左右されることが多いと。つまり、自分の心の底から湧き上がる「本当に自分が望んでいる、やりたいこと」ではない可能性が高い、というのです。

環境は情報に左右されるような「やりたいこと」なのであれば、それは「偶然である」ということ。

それに比べ、自分自身ができること(注意:林修先生のいう「できる」とは、自分自身ができると思うことにとどまらず、周囲の他人から「できる」と判断されるレベルのことを指します)は、自分が持っている能力の発揮であるため、必然であるというのです。

 

 

2.「やりたいこと」は偶然なのか?

 

林修先生は、ご自身は「やりたくないけどできること」を仕事とし、そのおかげで悩んだことはないと言いつつも、「やりたい・やりたくない」軸にこだわるタイプの人を否定はしていません。BESTなのは、「やりたいかつできる」の領域であるともおっしゃっています。

林修先生のように、割り切って「やりたくないけどできること」を仕事にできる人は多数派ではないかもしれないですよね。やはり「やりたいこと」をしたい!という人は一定数存在すると私は思います。

 

では、林修先生が示唆してくださった、「やりたいことは偶然である可能性が高い」ということを踏まると、「偶然ではない、真に自分がやりたいことは何なのか?」という問いに自ら答える必要があるのではないかと思います。環境や情報に左右されたのではない、自分の中に根源的にある「やりたいこと」を見つめなければなりません。

やりたいことで、仕事として突き抜けていくには、この作業が必須であると私は考えています。

 

今自分がやりたいと思っていることは、本当に自分が望んでいることなのだろうか?どうしたらそこが見極められるのだろう。

やりたいことを探したくても、どう探したらいいのかがわからない。

やりたいことが見つからない。

 

こういう悩みが多く出てくると思います。自分のことなのに、わかりません。

自分のことだから、他の誰かに聞いてでてくるものでも、教えてくれるものでもありません。

自分を見つめるというのは、難しいことなのです。

 

 

3.「やりたい」と「やらなければならない」

 

私には、大人になればなるほど、難しくなるのではないかと思うことがあります。

その1つに、「自分の願望を直視する」というものがあります。

人は大人になるにつれ、自分のわがままを出す機会が減ってくると思います。代わりに何が増えるかというと、我慢です。

本当はこうしたいけど、でもこういう都合があるから、こっちを優先しよう、とか。

本音ではこう言いたいけれど、そういうわけにもいかないから、ここは大人としてこうふるまうべきだ、とか。

つまり、自分の願望や思いよりも、社会的に求められていることや、義務を優先します。

それで社会は、ある程度の秩序が保たれてまわっているのだと思います。

このこと自体は、悪いことではないと思いますし、必要なことだと思います。

 

ですが、「やりたいこと」より「やらなければならないこと」ばかりを優先して頭を使っていると、自分の気持ちや心に蓋をしていくことが通常になります。

ある意味、これは実は私たちにとって、楽なことなのだと思います。なぜなら「やらなければならないこと」は、たいていはっきりしています。自分で考えるまでもなく、義務ですから、「やるしかない」のです。

こうして、「やらなければならないこと」ばかり優先した日々を過ごしていくと、どうなるか。

自分が何をやりたいのか、がわからなくなるのです。自分の気持ちや願望に対し見ないふりを続けてきたところ、そんな気持ちを忘れてしまいます。そこでいざ、さぁ私のやりたいことは何だろう?と思ってみたところで、何もでてきません。

それどころか、私の経験で言えば、「さぁ私のやりたいことは何だろう?」という問いすら、自分に向けることができません。おそらく、自分のやりたいことに向き合うのが怖いのでしょう、考えなくてもよい方に逃げようとします。文字通り、その蓋は開けたくないのだ、というふうに。

なぜ向き合うのが怖いのか?何か、すごいやりたいことが見つかってしまったら、自分はどうしたらいいのかわからないからかもしれません。今の生活を守りたいという防衛本能もあります。変化が起こりそうで怖いという、変わることを恐れる部分が出てきてしまいます。

 

自分の知らない自分、新しい自分が見えてくるというのは、ある程度恐ろしいことなのでしょう。今の何かを揺るがすことかもしれないから。

けれど、これには勇気をもって、時間をある程度かけて向き合うしかありません。

時には、「やらなければならないこと」をいったんわきに置いて、自分の「やりたいこと」の声を聴いてあげることは、自分を大切にすることにつながると思います。

せっかくの自分の人生ですから、自分に向き合ってみてほしいと思います。

 

4.やりたいことの見つめ方

 

では実際に、自分がやりたいことは何だろうか?と向き合う際のポイントをお伝えしたいと思います。

コツは、ただ「好き」を探すのではなく、もっと広く網をかけることです。

「好き」というのは、ピンポイントであることが多いのではないでしょうか。

それではあまりにも限定的になってしまいますので、好きを広げて、「自分の興味・関心がどこにあるのか?」に注目してみてください。

2つアプローチのヒントを書きます。

 

①知人、芸能人、有名人などの中で、「この人のこういうとこ、いいなぁ。うらやましいな、憧れるな」と思うことを探してみる

 

そのうえで、その人の、何?どこ?に惹かれるのか、をよく考える。そして、それはなぜ?なぜ惹かれるのかを探っていく。

この「なぜ」はとても重要です。その理由に、あなたの価値観が反映されているはずです。

その時の注意点としては、自分とまったく違う世界の人だから、とか、あの人はもう本当に特別な人だから参考にならないとか、そういう邪念を一切取っ払ってほしいということです。他人の生き方や人生の中から、心に従って、素直に、いいなと思うことを見つけてください。ここに、可能・不可能を考えてはいけませんよ!

いくつか見つかれば、それらの共通点なども見えてくるかもしれません。

そうすると、ご自身の傾向というものも、出てくると思います。

 

②子供のころに憧れていた、好きだったことを思い出してみる

 

このアプローチは大変、王道のやり方です。

やはり子供のころというのは、自分の根っこが現れており、自分の本質はここにあることが多いからです。

キャリアカウンセリングの先生に、マーク・L・サビカスという方がいらっしゃいます。

サビカス先生は、キャリアストーリーインタビューという手法を用いて、クライエントに5つの質問を投げかけ、自分を見つめる手助けを行います。

その5つの質問というのが以下です。

 

  • ・6歳以前にあなたが憧れていた人やロールモデルになった人を3人挙げてください。またその理由も述べてください。
  • ・あなたの最も好きなa)雑誌、b)テレビ番組、c)ウェブサイトは何ですか?それはなぜですか?
  • ・本や映画のストーリーであなたが最も好きなものは?
  • ・最も好きなモットーやことわざを3つ
  • ・あなたの人生で最初の記憶は何ですか?最も幼い時期の思い出です。あなたが6歳までにおきたことで思い出せることのなかで、3つのストーリーを述べてください。

  (キャリア・ストーリー・インタビュー(Saicas,2011)より)

6歳以前のことを尋ねる質問が2つも出てきます。

 

なかなか、子供のころを思い出すというのは、やってみると難しいものです。

けれどもここには、自分の原体験があるということですね。

 

このキャリアストーリーインタビューについて、やってみたい人は以下のリンクを参考にしてみてください。

 

「何をしたいのかわからない40代。ありたい自分や目標・職業への興味に気づくヒント」https://nowjob.jp/kyariasuto-ri/

 

今日はここまで。